頭痛
日本で慢性頭痛を有する人は4000万人と推定されており、日本人のおよそ3人に1人が頭痛持ちと言われています。
頭痛には、緊張性頭痛や片頭痛などの「一次性頭痛」とくも膜下出血・脳出血や髄膜炎などの疾患に伴う「二次性頭痛」があります。二次性頭痛は後遺症を残すこともあり、まずは二次性頭痛を疑う兆候がないかを適切に除外します。その過程では、他施設で頭部CTなどをお願いすることがあります。
片頭痛
一次性頭痛では緊張型頭痛が多いとされていますが、頭痛外来を受診される方には、日常生活に支障が出る寝込むほどの頭痛で、吐き気や光や音に過敏になることを伴うことが多く、片頭痛と診断できることが少なくありません。
片頭痛の発作時には、トリプタン系と呼ばれる血管作動薬がとくに効果を示します。市販の鎮痛解熱薬も効果はなくはないのですが、片頭痛をお持ちの方が繰り返し飲んでいると、頭痛が慢性化して「薬物乱用頭痛」と言われる状態になることがあるので、注意が必要です。
発作が月に何回もあるようなら予防の治療を考えた方がいいかもしれません。元々はてんかんの薬であるバルプロ酸や抗うつ薬であるアミトリプチリンなど古くからある(安価な)薬に効果があることも多いですが、新薬として、CGRPという痛みに関連する物質に対する抗体の注射も用いることができます。
緊張型頭痛
精神的・身体的ストレスや筋肉の緊張などが複雑に絡み合っておこる頭痛と考えられています。
典型的には、後頸部からはじめる鈍痛で、肩こりを伴うことが多いのが特徴です。
鎮痛解熱薬・NSAIDsのほか、抗不安薬、抗うつ薬、筋弛緩薬や漢方薬の服用による治療や、体操などの運動による治療等があります。
群発頭痛などの三叉神経・自律神経性頭痛
目の奥(眼窩部)などに強い痛みの発作が起き、鼻水・鼻詰まりや涙などを伴うことが特徴です。トリプタン系の薬が有効なことが多いですが、インドメタシンという鎮痛解熱薬が特異的に効くものもあります。
慢性頭痛は、付き合い方が重要です。専門医にご相談ください。